豊田及び周辺地域で活躍する人材をお招きしてお話を伺う<TAG>ダイアローグ。
2022年5月からは、Arts&Theater→Literacyの亀田恵子氏企画で豊田カフェ/つながリビングでシリーズ開催される「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。」の模様を<TAG>ダイアローグとして公開しています。
2022年5月からは、Arts&Theater→Literacyの亀田恵子氏企画で豊田カフェ/つながリビングでシリーズ開催される「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。」の模様を<TAG>ダイアローグとして公開しています。
2022年6月開催のゲスト刈馬カオスさん、谷本進さん出演回は、動画撮影不可でしたので、<TAG>発起人であり、当日ホストを務めた石黒秀和のレポートを掲載します。
おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。第2回
【日時】6月11日(土)18:30開演
【会場】豊田カフェ/つながリビング
【入場料】1,500円(1ドリンク付き)
【内容】第1部:短編演劇上演『ドッグウィーブ』第2部:トーク
【出演】刈馬カオス(刈馬設計者 代表/劇作家・演出家)谷本進(俳優・アーティスト)
【レポート】第2回「カフェ待ち」を終えて 石黒秀和
2022年6月11日(日)に、つながリビング(豊田カフェ内オープンスペース)にて、第2回目となる「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。(以下カフェ待ち)」が開催された。この企画は、Arts&Theater→Literacy代表で現代アート・舞台芸術評論家でもある亀田恵子氏が、市民がもっと気軽にアートに親しめるきっかけづくりになればと、市内外の様々なアーティストをお招きし、実演とトークをお届けするというものである。5月に続き2回目となる今回は、静岡市からお招きした俳優・谷本進氏による一人芝居「ドッグウェーブ」の上演と、谷本氏に加えドッグウェーブの作者でもある刈馬演劇設計社の刈馬カオス氏と亀田氏、私の4人によるトークをお届けした。
2022年6月11日(日)に、つながリビング(豊田カフェ内オープンスペース)にて、第2回目となる「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。(以下カフェ待ち)」が開催された。この企画は、Arts&Theater→Literacy代表で現代アート・舞台芸術評論家でもある亀田恵子氏が、市民がもっと気軽にアートに親しめるきっかけづくりになればと、市内外の様々なアーティストをお招きし、実演とトークをお届けするというものである。5月に続き2回目となる今回は、静岡市からお招きした俳優・谷本進氏による一人芝居「ドッグウェーブ」の上演と、谷本氏に加えドッグウェーブの作者でもある刈馬演劇設計社の刈馬カオス氏と亀田氏、私の4人によるトークをお届けした。
開演は18:30。観客は20名程度。突然鳴り響く音楽の中、谷本氏扮する一人の男…いや、犬が首輪をつけ登場する。犬はどうやら主人に置き去りにされたらしい。ここは、福島県のある町。2011年3月11日から数か月後のお話である。犬は、置き去りにされた想いを怒りよりむしろ諦めをもって吐露する。しかしその想いは、むしろ犬を捨てた側の想いを代弁しているように感じる。ラストで犬は遠吠えを繰り返す。それは、故郷を追われ、ある日突然日常と、大切なものを奪われてしまった者たちの叫びとなって観客の胸に響く。上演時間約25分。谷本進の目は終始、野良犬の、まさにそれそのものであった。
5分程の休憩をはさみ、トークは亀田氏と私が谷本氏と刈馬氏に質問をする形式で進められた。刈馬氏は実際にあった事件や事故を題材にした社会派の作風で知られるが、ドッグウェーブもまた、震災によって起きた理不尽に対する怒りがその誕生のもとにあったと語ってくれた。怒りは刈馬氏の創作の原動力の一つになっているのだろう。ただ、刈馬氏はそれをあくまでエンターティメントとして構築し提示してくれる。ただただ声高に怒りを直接表現するのではなく、そこに微かなユーモアと悲哀を混ぜ、結論を出すのではなく、むしろ深い思索の時を与えてくれるのである。ドッグウェーブもまたそういう作品であった。よって、観劇後に残るのは静かな余韻であった。
谷本氏は平田オリザ氏の青年団の芝居に出演していたこともあり(刈馬氏も劇作家・演出家になる前に1年程青年団に役者として所属しており二人はその時に知り合ったということだった)トークでは谷本氏と青年団の関わりについても問われた。その時の谷本氏の返答がある意味谷本氏の演劇観を語っていたようで私には印象的であった。曰く。「青年団ではなく、僕は金杉忠男アソシエーツなんです。平田オリザ氏は演劇を始めた頃、金杉忠男の稽古場によく通っていた。青年団はその後出来たんです」。劇団中村座や金杉忠男アソシエーツを主宰し、「やんちゃなアングラ劇」で知られた劇作家・演出家の金杉忠男。その金杉氏のもとで演技を学び、今もライブハウスなどで公演を続ける谷本氏のこだわりというかプライドが、この言葉には込められていたように感じたのである。
谷本氏は2020年に本格復帰するまで、7年程役者の活動を停止していたそうである。その理由は今回は明確には語られなかったが、代わりに、自分は現役の自衛官でもあると述べた。なぜ再び演劇を始めたのか、その問いにも谷本氏は明確には答えなかった。ただ、これまでに刈馬氏は谷本氏に3本の一人芝居を書き下ろしている。2008年の「36」。2011年の「ドッグウェーブ」。2020年の「俳優病」。その三本の作品を携え、この秋、谷本氏は東京と名古屋で公演を行う。コロナ禍に生み出された「俳優病」は俳優と言う不治の病にかかった一人の男の話だという。あるいは、そこに、演劇から一度は遠ざかり、しかし結局戻ってきた自衛官でもある一人の男の答えがあるような気がするのである。同じような病にかかっている身としては、これはぜひ観に行き確かめたいと思っている。
カフェ待ちは今後、12月までの毎月1回、つながリビングで開催される予定である。第1回目、2回目と演劇が重なったが、今後はダンスや美術、音楽など多彩なラインナップが予定されている。そこには、普段はなかなか馴染みのないアートとの気軽な出会いがあるのだが、それは結局、人との出会いなのだと、今回の開催を通して改めて実感した。やっぱり人は面白い。コロナの経験を経て、その面白さを徐々に取り戻す、カフェ待ちはそんな場にもなっていると感じるのである。
過去の<TAG>ダイアローグ 動画/文字起こしはこちら → http://toyotaartgene.com/
<TAG>チャンネル登録もよろしくお願いします → https://www.youtube.com/channel/UCIjZssyxVzbc1yNkQSSW-Hg
出演者プロフィール
刈馬カオス(かるまかおす)
愛知淑徳大学 交流文化学部・創造表現学部非常勤講師
名古屋外国語大学 国際教養学部非常勤講師
1977年10月6日生まれ 名古屋市出身
『クラッシュ・ワルツ』で、第19回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。『モンスターとしての私』で 、第18回テアトロ新人戯曲賞佳作を受賞。『マイ・フェイバリット・バ――――――ジン』で、第8回AAF戯曲賞最終候補。『誰も死なない』で、第3回せんだい短編戯曲賞最終候補。平成27年度愛知県芸術文化選奨・文化新人賞を受賞。
近畿大学文芸学部芸術学科演劇・芸能専攻卒業。
16歳より演劇を始める。劇団「青年団」での俳優活動を経て、七ツ寺共同スタジオ30周年記念事業の作 ・演出を担当したのを機に、劇作活動に専念。
2003年に起動した、劇団「メガトン・ロマンチッカー」では最高観客動員1000名を記録。4年間で全16作品を発表した(短編含む)。
2009年より新プロジェクト「テラ・インコグニタ」を始動。2010年より2年間、活動名を本名の「塚田泰一郎」に改める。
谷本進(NEVER LOSE)に提供した1人芝居『36』『ドッグ・ウェーブ』は、全国各地のライブハウスを中心に数年間に渡って上演され続け、上演回数は70回を越える。
テレビ・ラジオ・他劇団への作品提供、大道芸人ショウの演出、ワークショップ講師 、芸能プロダクションの演技講師、高校演劇大会や若手劇団フェスティバルの審査員など多数。
2011年より愛知淑徳大学非常勤講師に就任。
刈馬演劇設計社サイト https://karumaengeki.wixsite.com/karuma
谷本進(たにもとすすむ)
俳優/プロデューサー/谷本進事務所 代表。劇団NEVER LOSE主宰/陸上自衛隊予備3等陸曹。
舞台芸術学院本科卒。
一人芝居で劇場ライブハウス野外フェスで全国制覇
2022年9月末こまばアゴラ劇場 10月末名古屋G/PITにて谷本進一人芝居三部作上演「俳優病」作・演出:刈馬カオス 東京名古屋公演 全国ライブツアー決定
亀田恵子(かめだけいこ)
現代アート・舞台芸術評論家。豊田市在住。2007年、Arts&Theater→Literacyを設立、評論活動のほかにも、アーティストのPR支援、公演プロデュース、講師、ラジオパーソナリティなど様々な活動を行っている。
「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。」ブログ https://cafe-art-life-byatl.blog.ss-blog.jp/
現代アート・舞台芸術評論家。豊田市在住。2007年、Arts&Theater→Literacyを設立、評論活動のほかにも、アーティストのPR支援、公演プロデュース、講師、ラジオパーソナリティなど様々な活動を行っている。
「おしゃべりと表現と。カフェで待ってます。」ブログ https://cafe-art-life-byatl.blog.ss-blog.jp/
Arts&Theater→Literacyサイト http://keikoartliteracy.wixsite.com/by-office-k
石黒秀和(いしぐろひでかず)
1989年に倉本聰氏の私塾・富良野塾にシナリオライター志望として入塾。卒塾後、カナダアルバータ州バンフに滞在し、帰国後、富良野塾の舞台スタッフやフリーのシナリオライターとして活動。1993年より9年間、豊田市民創作劇場の作・演出を担当する。
2003年、2006年には国内最大級の野外劇「とよた市民野外劇」の作・演出を担当。その後、人材育成の必要性を実感し、舞台芸術人材育成事業「とよた演劇アカデミー」(現在はとよた演劇ファクトリー)を発案、実行委員として運営に携わり、2011年から2015年まで短編演劇バトルT-1を主催する。
2012年からはTOCを主宰して市民公募のキャストによる群読劇を豊田市美術館などで上演。2017年からは、とよた市民アートプロジェクト推進協議会委員長として様々なアートプログラムの企画・運営に従事し、同年、とよた演劇協会を設立。会長に就任し、2020年、とよた劇場元気プロジェクトを実施する。
その他、演劇ワークショップの講師や人形劇団への脚本提供・演出、ラジオドラマ、自主短編映画製作など活動の幅は多様。これまでの作・演出作品は70本以上。1997年からは公益財団法人あすてのスタッフとして社会貢献事業の推進にも従事。豊田市文化芸術振興委員ほか就任中。平成8年度豊田文化奨励賞受賞。平成12年とよしん育英財団助成。平成27年愛銀文化助成。日本劇作家協会会員。
とよた演劇協会 https://toyota-engeki.jimdofree.com/
石黒秀和(いしぐろひでかず)
1989年に倉本聰氏の私塾・富良野塾にシナリオライター志望として入塾。卒塾後、カナダアルバータ州バンフに滞在し、帰国後、富良野塾の舞台スタッフやフリーのシナリオライターとして活動。1993年より9年間、豊田市民創作劇場の作・演出を担当する。
2003年、2006年には国内最大級の野外劇「とよた市民野外劇」の作・演出を担当。その後、人材育成の必要性を実感し、舞台芸術人材育成事業「とよた演劇アカデミー」(現在はとよた演劇ファクトリー)を発案、実行委員として運営に携わり、2011年から2015年まで短編演劇バトルT-1を主催する。
2012年からはTOCを主宰して市民公募のキャストによる群読劇を豊田市美術館などで上演。2017年からは、とよた市民アートプロジェクト推進協議会委員長として様々なアートプログラムの企画・運営に従事し、同年、とよた演劇協会を設立。会長に就任し、2020年、とよた劇場元気プロジェクトを実施する。
その他、演劇ワークショップの講師や人形劇団への脚本提供・演出、ラジオドラマ、自主短編映画製作など活動の幅は多様。これまでの作・演出作品は70本以上。1997年からは公益財団法人あすてのスタッフとして社会貢献事業の推進にも従事。豊田市文化芸術振興委員ほか就任中。平成8年度豊田文化奨励賞受賞。平成12年とよしん育英財団助成。平成27年愛銀文化助成。日本劇作家協会会員。
とよた演劇協会 https://toyota-engeki.jimdofree.com/