2021年5月5日水曜日

【コラム】市民のための文化芸術ネットワーク 赤川茂樹(2013.12.6掲載)

 〈TAG〉通信の創刊、おめでとうございます。
 豊田市周辺の演劇、映像、音楽、アートなど文化芸術に関する情報を集約して届けてくれるということで、皆さんの今後の活躍が楽しみです。実際、平成24年度に行った文化芸術における市民アンケート結果においても、もっとも知りたい情報として「市内の文化芸術の催しやイベント情報」があげられています。市が情報発信するとなると、どうしても公平性を重視するため、市主催以外のイベントを取り上げたり、ましてや批評することはなかなかできません。そういった意味でも、市民目線で本当に面白い文化芸術の情報を提供してくださるこの活動は、市民にとってもとても意味のあることだと思います。

 前身とも言える平成24年度の〈TUG〉(Toyota Underground Gallery)は、豊田市内の演劇・音楽・映像の人材交流を図り、また、他ジャンルや他地域の人材を巻き込んでいくことにより、文化的人材や組織のネットワーク化を進め、イベントの企画・運営を通したプロデュ―スノウハウを会得し、これから豊田市で活躍できる人材を育成したいと思い開催しました。

 最初の体制づくりには大変苦労しましたが、TOC 石黒氏、M.I.F. 清水氏の協力の下、演劇アカデミー修了生を中心とした制作メンバーが広報、総務、企画などのチームに分かれ、それぞれ仕事や家庭を抱えながらもボランティアで事業を運営してくださったことに、本当に感謝しています。アカデミー修了後、各自の表現活動やレベルアップのために市外へその活動の場は広がっている状況ですが、地元である豊田市で活躍できる喜びを感じてもらうことができたのではないかと思います。

 残念ながら、〈TUG〉を継続させることはできませんでしたが、この試みで新たな横のつながりを創り、文化芸術の力をまちの活性化など社会のために役立てていくという考え方が、今後の文化政策において重要であることが分かりました。

 このことから、今年度より展開している『とよたデカス・プロジェクト』も、アートが人と人をつなぎ、人と地域の結びつきを助けるようなアートプロジェクトを実施し、市民の皆さんがアートを楽しむ機会を増やすとともに、こうした事業を企画し、実施できる人たちを応援していくプロジェクトとして考えています。来年度からは事業企画案を公募しますので、ぜひご参加ください。

 新たなつながりを創るためには、継続してつながりを持てる場が必要となります。市民の方が運営する、市民のための文化芸術ネットワークとして、実際の繋がりも持つことで、そこから新たな企画が生まれ、豊かなまちづくりに貢献してくれることを期待しています。


赤川茂樹 あかがわ・しげき
豊田市役所文化振興課主査として市の文化振興行政に携わる。平成24年度開催の〈TUG〉を企画・担当。

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