2021年5月5日水曜日

【コラム】<TAG>発足に寄せて 石黒秀和(2013.8.23掲載)

 ネットワークという言葉をやたらと聞く。大事なのはネットワークだと、あっちの会議でもこっちの会議でも言われている気がする。僕も言っている気がする。イヤ、確かに言っている。今こそ、ネットワークが大事だと。

 昨年、市の事業で<TUG>というのをやった。商業ビルの地下にある市民ギャラリーを使って、若者達向けの文化イベントを1年で3本企画運営した。<TUG>はToyota Underground Galleryの略である。市民ギャラリーが地下にあることや新たな文化の芽が育まれる場になることを願って名づけた。更にIT用語のタグにちなみ、ジャンルを超えた人材がつながり交流するという意味合いも込めた。まさに、ネットワークである。この街で、なかなか顔が見えないと言われる若者の顔、サブカルチャーの顔、アーティスト同士の顔などを先ずは小さな規模でいいからともに汗を流すことでつなげてみようよ、という試みでもあった。なかなか面白い企画が生まれた。人の交流も生まれた。さぁ、これからだ、と夢も語り合った。そして、予算が切られた。

 ネットワークがネットワークたり得るのはつながっているからである。切れたら、それはネットワークじゃない。予算が切れたからネットワークも切れる。じゃ、あんまりだろうと思い、僕らはをつなげることにした。名を少しだけ変え。

 正直、かなり細いケーブルでなんとかつながっている感じである。この先、再び切れる、可能性もなくはない。でも、やっぱりネットワークは大事だと思っている。大事なら、切ってはいけない。もう、会議室で言葉にするだけじゃいけない。形にしようよ。大事なものは、形に。例えば、螺旋の、無限につながり、進化する・・・。
 
 <TAG>Toyota Art Gene。新たな名に込めた、僕らの思いだ!

石黒秀和
劇作家・演出家。富良野塾にて倉本聰氏に師事後、豊田市において豊田市民劇、豊田市民野外劇、とよた演劇アカデミー等の事業他、多数の演劇の作・演出を手掛ける。TOC(Toyota Original Company)代表。

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