11月16・17日に豊田産業文化センター小ホールで開催された劇団スカブラボー第5回本公演「天使に願いを」を観劇してきた。
以下まずは劇団スカブラボーを紹介する。
劇団スカブラボーは東京を中心に活動する劇団だが、昨年まで開催されていた、とよた短編演劇バトル「T-1」にて、前身団体「空想科学少年ダッチ☆だんぺい」から数えて2年連続で優勝、昨年にも第3回公演を豊田で行っているとのこと。団員のどなたかが豊田市出身ということで(間違っていたらすみません)、結成以来豊田と縁が深い劇団だ。
東京の下北沢界隈にて公演もしているとのことで、東京で活動する小劇団の舞台が豊田で観られるのは、実は珍しいことでもある。
また、地元の劇団の公演は土日曜日公演が多い中(団員が仕事を持ちながらということもあると思うが)、今回の公演は平日夜公演という挑戦をされており、そのあたりも注目する点だった。
筆者はT-1での舞台及び昨年の公演も見逃しており、この劇団の観劇ははじめてであった。
まずは、公演全体についての所感から。
筆者は2日目の11月17日(木)に行ったが、集客は苦戦しており、さびしい感じは否めなかった。笑いが起こるべきところでも、会場の密度が薄いゆえ起こらない雰囲気が終始した。これが、もう少し小さい箱で、お客さんも密集していたら、笑いや他のリアクションももっと起こっていたと想像するので、改めて場の重要さを感じ、今回はちょっともったいない気がした。
セットもシンプルで、登場人物もそれほど多くなかったので、よりお客さんが密集する空間の方が、演者の熱気も伝わり、芝居自体の印象ももっと違ったのではないかと思う。ただ、豊田においては、芝居が常に上演できる小さい箱というのはないので、自らで作るしかないのだが。
内容においても、会場の広さゆえか、本公演という構えゆえか、少しゆったりとした印象があった。兄天使が出てきてから少しずつ芝居がノッてきたのだが、逆にそれまでが長く感じた。全体としても、もっとテンポよく、全体尺も短くてよかったと思う。
小さな漁村、気弱な主人公のもとに天使が現れ、人間と天使の恋、兄妹天使の母の秘密など複数の軸が交差しながらストーリーが進んでいくファンタジックな内容だが、構えが大きいためか、ストーリーの建てつけの雑さが見えてしまった感じがした。もう少し小さい空間で、テンポもよければ、多少雑くらいな方が勢いが出て気にならなかったと思うし、構えを大きくするなら、もう少し周到なストーリー構築、展開が欲しかったと思う。
ただ、演者1人1人のスキルは高く、それぞれのキャラクターも演じ分けられていてすんなりと入ってきた。演技力、演出力の高さゆえだと思う。
この公演が実力のすべてではないと思うので、これからも、豊田でも継続して公演しもらって、劇団の成長を見ていきたいと思う。
清水雅人
映像作家・プロデューサー。<TAG>発起人。映画製作団体M.I.F.元代表。映画製作の他にも、小坂本町一丁目映画祭運営、豊田ご当地アイドルStar☆Tプロデュ―スなどを手掛ける
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