去る2月23日(日)に、豊田産業文化センターでとよた演劇アカデミー6期生の修了公演があり、約10か月の課程を経た14名が修了証書を受け取った。これでアカデミー修了生も130名を超え、間もなく7期生の募集も始まる。
アカデミーを構想したのは2回目のとよた市民野外劇を終えた2006年秋頃だったと思う。野外劇を通して、文化事業の裏を支える市民スタッフの不足を痛感した僕は、野外劇のプロデューサーでもあった岡田隆弘氏に相談し、構想をまとめた。岡田氏が市に話をし、正式な事業化が決まったのは2007年秋頃だったか。そこから市内の文化関係者で実行委員会を組織し、豊田市文化振興財団を事務局に2008年に開講した。
1年を前期と後期に分け、前期は演劇を軸とした裏方、演技などの講義を市内外様々な講師から学び、後期は受講生自らの手で一本の公演を創り上げる。目的はまさにこの街の文化の中核を担う人材の育成であった。
3期生の時にはリーマンショックの影響もあったのか市の負担金も打ち切りとなり、4期生の時には募集人数が定員に満たずあわや中止と言う危機もあったが、主催の文化振興財団の頑張りもあってアカデミーは今や市の文化事業の中でも重要な位置を占めている。・・・と言うとさすがにちょっと大げさかもしれないが、この事業が、特に他市の文化関係者から高く評価されているのは確かである。人材育成はどこでも誰でも必要と認める事業である。ただ、それをやっているところは、実はとても少ない。なぜなら、成果が見えづらいから。だからお金もかけづらい。結果人も育たない。悪循環。
では6年かけたアカデミーはどうなのか? その成果について、正直僕は即答出来ない。 130名の修了生が現在皆活躍しているかと問われれば、ほとんどがそれっきりである。身についた技術についても、決して充分とは言えない。それでも、アカデミーがなかったら、そう考えると、いなかった人、できなかったことがあるのもまた事実である。T-1、<TUG>、とよたこども創造劇場・・・もしもに意味はないのかもしれないが、そこには成果が確実にある、気がする。
継続とともに大事なもう一つの要素が変革であろう。長く続けるとどうしても既得権とでも言うか、変えない変わらない気づかないの3ない事態となる。僕自身、それを最も恐れる。それを防ぐには・・・真ん中が変わるべきなのである。
来年度、アカデミーは新たな風をとり入れる。それは、後期劇づくりにおける柴幸男氏の登用だ。「わが星」に代表される演劇人としての柴さんの実力は申し分ない。全幅の信頼とともに、「よそ者」である彼がこの街の文化に何をもたらしてくれるのか、実に楽しみである。「バカ者」はいる気がする。たくさん。「若者」もいる気がする。イヤ、ちょっと足りないか? そこに「よそ者」が加わった。これは絶対面白くなる。
2014年度。新生とよた演劇アカデミーの挑戦に、ぜひご期待下さい。
脚本・演出家 石黒秀和
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