2021年5月11日火曜日

【コラム】「<TAG>再開に寄せて」清水雅人(2021.5)

 地域振興、地方分権、地方創生などと言われて久しい。私は“地方”という言葉が嫌いだ。そこには、常に中央からの目線が含意されている。それぞれの人にとっては、住んでいる街こそが中央のはずなのに。

 少しずつ進んでいること、遅々として進まないこと、後退していること様々ある。だが、その中でもっとも遅れているものの一つが“情報”だと思う。それが遅れていることに気づいていないのでさらにやっかいだ。

 <TAG>は「下北沢でやっている演劇公演は知っているのに、豊田市内でやってる演劇公演のことは知らないって実はおかしくない?」という問いから始まった。以前あった雑誌ぴあの豊田版、ぐるなびの文化芸術版を作りたい、という思いがきっかけだった。

 地元の情報を伝えるメディアはここ20年で飛躍的に進化した。インターネット、SNS、ケーブルテレビ、コミュニティFM、フリーペーパーなどなど誰でも情報の発信者になれるようになった。地元のアーティストや文化芸術団体は、一生懸命それらを使って情報発信しているが、果たして届いているのか?

 「下北沢でやっている演劇公演は知っているのに、豊田市内でやってる演劇公演のことは知らないっておかしくない?」という問いは「東京都知事が昨日話したことは知っているのに、豊田市長が話したことは知らない」のと同義だ。「東京の感染状況は知っているのに、豊田の実際の状況はわからない」とも同義だ。

 メディアを通じて得る情報のほとんどが中央からの情報であることの自明性を疑うこと、生活に密着した身近な情報にも(飲食や買い物以外にも)もう少し興味を持ってもいいんじゃないかと気づくこと、<TAG>が、文化芸術分野を突破口にして、地域での情報についての意識を変える端緒になればと思う。

 お金にはならないので、少人数で時間の隙間を縫ってやっているので、不完全なゆっくりとした歩みではありますが、どうぞ応援よろしくお願いします。


清水雅人(しみずまさと)プロフィール
2000年頃より自主映画製作を始め、周辺の映画製作団体を統合してM.I.F(ミフ Mikawa Independet Movie Factory)を設立(2016年解散)。監督作「公務員探偵ホーリー2」「箱」などで国内の映画賞を多数受賞。また、全国の自主制作映画を上映する小坂本町一丁目映画祭を開催(2002~2015年に13回)。コミュニティFMにてラジオ番組パーソナリティ、CATVにて番組制作なども行う。
2012年、サラリーマンを退職/独立し豊田星プロを起業。豊田ご当地アイドルStar☆T(すたーと)プロデユースをはじめ、映像制作、イベント企画などを行う。地元の音楽アーティストとの連携を深め、2017年より豊田市駅前GAZAビル南広場にて豊田市民音楽祭との共催による定期ライブToyota Citizen Music Park~豊田市民音楽広場~を開催。2018年2019年には夏フェス版として☆フェスを同会場にて開催、2,000人を動員。
2016年、豊田では初の市内全域を舞台にした劇場公開作「星めぐりの町」(監督/黒土三男 主演/小林稔侍 2017年全国公開)を支援する団体 映画「星めぐりの町」を実現する会を設立し、制作、フィルムコミッションをサポート。2020年、団体名を「映画街人とよた」に改称し、2021年全国公開映画「僕と彼女とラリーと」支援ほか、豊田市における継続的な映画映像文化振興事業を行う。
2017年より、とよた市民アートプロジェクト推進協議会委員就任し(2020年度終了)、あいちトリエンナーレ関連事業の支援やとよたアートプログラム支援を行う。


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